『マイ・インターン』に見るシニアのセカンドキャリア

おすすめ系

人生100年時代と言われる昨今。労働市場にシニアの活用うんぬんと言われ久しいですが、
映画の中にそのヒントと、あり方を見たのでご紹介します。
こんな風に自分の経験を活かせる人物を目指して、労働市場環境も整えていきたいです。
いい映画ですよ。

概要とストーリー

・制 作 年:2015年
・監  督:ナンシー・マイヤーズ
・キャスト:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ 、レネ・ルッソ etc
・上映時間:121分
・評  価:4,941件のグローバル評価 ★★★★+α 4.6/★5

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これも少々前の映画ですが、
洋画を見る方なら、ロバート・デ・ニーロの名前くらいは聞いたことがあるでしょう!のロバート・デ・ニーロと、大きな瞳が印象的なアン・ハサウェイが作り上げるヒューマンドラマです。
年齢を重ねたからこその強みの活かしどころが描かれている点に
「ボーっと生きてちゃこうは成れないねぇ・・・」と思わされ、
キャリアのプロアクティブ・エイジングとして一つの目標ができた映画です。

あらすじ

ジュールス(アン・ハサウェイ)は、オンラインファッションサイトを運営する会社の若きCEO。
超多忙ながらも仕事と家庭をなんとか両立させているキャリアウーマン。
もう一人の主人公ベン(ロバート・デ・ニーロ)は妻に先立たれ独身隠居生活をそれなりに過ごすも、社会とつながっていたいとの思いから偶然知り得たジュールスの会社の福祉事業”シニア・インターン募集”の求人に応募。見事面接に合格し、ジュールス専属のインターンとなった。
当初はベンの目ざとさにイライラするジュールスだったが、ベンの人柄と豊富な人生経験で次第に周囲からも、ジュールスからも頼られる存在となり、次第に心を通わせていく2人。
ジュールスはハイスピードで、且つ若くして成功したが、その多忙がゆえに職場でも家庭でも時間が足りずない日々。そんな折、ビジネスパートナーからジュールスの為にもCEO経験のある人物を外部から招こうと提案されたり、専業主夫をしてくれている夫にいつのまにか浮気をされてしまったりと、仕事と家庭の両立の難しさにぶち当たった。そんな時、ベンの愛に満ちた的確なアドバイスに救われ、ジュールスは自分の心と向き合い変化が訪れるのだった。ジュールスの決意とは!?

若ければいいってモンじゃない!!

映画の舞台はアメリカ。日本とはそもそも前提がかなり異なるのですが、
シニアの活用に希望と期待が持てる映画でした。

日本特有の雇用慣行として、新卒一括採用が挙げられているのは周知の事実。
まずは採用して、OJT、OFF-JTの組み合わせで育てながら自社色に染めて、長く働いてもらいたい。
終身雇用制度が標準だった時代、就職=就社の時代はそれでよかったんですよね。
この時代、転職は20代が限界説がありましたし、
理由を問わず、転職は働く根性のない奴がする事という社会風潮さえあったように思います。
会社が育てててくれるという期待に似た感覚は、この時代の良いとこ取りかもしれません。

おっと、話しが逸れました💦

日本の就職事情としては若者天国。
中高年者の中途採用の間口は狭く、厳しい。
これが今もなお現実のように感じる部分は多くある一方で、
昨今、政策や制度が変わる中、再雇用制度や能力主義の企業の出現などで
年功序列もかなり薄まり「年上の部下」を持つ人も増えたのではないでしょうか。

映画の中でもシニアインターンプロジェクトが動きだしてからも「老人は苦手なの」と、
プロジェクトに積極的ではないジュールスに対し、
プロジェクトを進めているキャメロンのセリフが印象的でした。

「経験豊富なインターンだぞ? 4年間遊んでた学生よりいい」

そうなんです!!
中高年、シニアには若者に無い武器があるのです。
「経験」という財産が!!
若さが武器や能力とみなされる職種もあるのも事実ですが、
再雇用やシニアの活用に取り組む職種にあっては
「人生経験」が武器になるんですね!

某企業社長のことば

私が働いていた小企業での話。
時はリーマンショック直後。
ある日、大学から新卒採用枠の問い合わせ電話が入りました。
採用は社長が全権を持っておられることはわかっていましたが、入社間もない私は
回答にあたり社長の意向を尋ねたところ、
「あー。新卒はウチは取らないねー。そう言っておいて」という答えでした。
社の意向を伝え電話を終えた後、今後同様の問い合わせは同じ対応で良いのかを確認したところ
「以前採用したことあるけど、うちはもう新卒は取らない。中途限定。
 手取り足取り教え育てる余裕はないから取れないのもあるけど、うちでは気働き、目働きをして仕事をしてもらいたい。 誰もがそうだけど若いうちは気が利かないから…」と。

ほぉ!なるほど!
採用基準にそういう年齢の考え方もあるのかと感心し、改めて周りを見渡せば
既に30代後半だった私が社内で下から2番目の若者でした💦

若者からすれば、そんなこと言われたって!とイラつく発言かもしれませんが、
企業規模によっては育てるマンパワーが少ないからこそ、即戦力を求めているのだと知りました。
やはり経験による成長は何よりも財産になります。
私も、職場で涙が出るほど腹が立ち、トイレに駆け込み自分の靴を壁に投げつけ怒りを発散させたこともありますが、あれから20年近く経つと
相手への対処や自分の感情への対処も今なら違うなぁと思います。

中高年・シニアの武器

セカンドキャリアで活きる事 ①あらゆる「経験」「人間力」

映画の中でも、70歳のベンはアナログ世代。紙の電話帳の印刷・製造・販売を40年近く手掛けてきた。
かたやインターンで入社した先はオンラインの若者向けファッションを取り扱う企業。
職務経験から見た場合、どこがどう活かせるの?と思うかもしれませんが、
ON・OFF共に豊富な人生経験をベースにして周囲を陰からサポートしつつ、
いざという時だけ前面に出るという立ち回りを自然にやってのけるわけです。
酸いも甘いも味わい尽くしたからこその安定感!
踏んだ場数、超えた壁の高さは若者に叶う筈はありませんね。

セカンドキャリアで活きる事 ②時に職業経験

ベンは、ジュールスの秘書のアシスタントに抜擢され、購買パターンの分析を依頼されますが、
早々に速報結果を報告しています。加えて、報告の際に褒められると「私ではなく、あなたの秘書が優秀だったから」とかなり年下の先輩を立てた一言を添えてました。
業種は違えど、ご自分の営業経験を活かせたエピソードではないでしょうか。

セカンドキャリアで活かしたい事 ①好奇心

「経験を活かす」
この活用の仕方ではかえって邪魔になることもあります。
ドッグイヤーといわれるこの時代。「私の若い頃は・・・」なんて煙たいセリフ№1かもしれません。10年前のビジネスの常識がいい所も勿論ありますが、昭和型ビジネスマンの当時の常識は令和の現代においてはもはや非常識なのかもしれません。現代ルールに馴染む柔軟性も見せつけたいところです。
映画ではシニアインターンの応募はビデオメッセージで送る(サイトにアップ)という手段。
募集要項から色々意味不明だったにも関わらず「孫に教えてもらった」と果敢に挑み掴んだ仕事です。

セカンドキャリアで意識したいこと事 ①「きょういく」と「きょうよう」

長年の経験、武勇伝は数知れず・・・かもしれませんが、過去に現在を合わせるのではなく、
現在を現在又は未来に合わせていく心構えとして、「きょういく」と「きょうよう」がポイントのようです。
ベンは、退職後数年は悠々自適な隠居生活を楽しむも、雨でも午前7時にはスタバへ出かけるのを日課とし、次第に「どうやって時間を過ごすか」が日々の課題になってきていると冒頭で語っていました。
シニアに限らず、人が生きていく上で結構大事なことかもしれません。

         “きょういく”   今日、行くところがある。
         ”きょうよう”   今日、用事がある。

まとめ

映画『マイ・インターン』に見るシニアのセカンドキャリアと題して、企業のシニア活用の方法や、いずれ皆老いるというあたり前を前提に自分自身のこの先の在り方を学ばせてもらった映画です。

私の過去の職場にも定年後入社され、70歳半ばまで週4のフルタイムで働く御大がおられました。
パソコン系はめっぽう苦手で、チョイチョイお昼寝タイムもありましたが、
それでも、たかだか10分のプレゼンを何十回と練習したり、徹底的に調べ物をしたりと事前準備の周到さだけでも見習うことばかりでしたし、やはり経験値の違いでピンチに強く
「○○さんに相談してみる・・・」と若手・中堅問わず駆け込み寺のような独特のポジションを築き上げておられました。
「老害」なんて言葉も聞かれますが、やはり人生の大先輩という事実は変わりません。
若者、シニアがお互いの歩み寄り、補ってしかるべしだと思う映画です。
是非、見てみてください
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学びも多く、ほんわかしつつも、たまにクスッとできるいい映画ですよ。

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